5~11歳のコロナワクチンについて
厚労省で1月20日に5~11歳における新型コロナウイルスワクチン接種に関して審議がはじまります。
この審議に一番重要である先行研究(「ワクチンは打つと効果があるのか?」について)をお伝えします。
このコラムは『うったほうがよい』とか『うたないほうがよい』とかお伝えするものではありません。
なんでこの年代に打つ必要があるのか?
一番大事なことを先にお伝えすると、この研究は米国で行われました。
当時の米国の小児患者数は研究当初で630万人以上、入院小児患者数2万4千人以上、小児のコロナ関連死が600人以上(小児死亡原因8位)いたという背景があります。
この感染症からの予防、また繰り返される学校閉鎖から情緒発達、精神的不健康からの脱却を試みるために有効性の髙いワクチンが必要と判断され研究されました。
どのワクチンを使用するのか?量は?
小児に投与するにあたってmRNAワクチンで流行早期から使われており、副反応のデータ集積が早かったファイザー社のワクチン(コミナルティ)が研究に使用されました。
量は12歳以上の年齢における量の1/3と設定されました。
この量は副反応を懸念されて少なくされたわけではなく、大人量の2/3と、1/3量でその後の抗体値(ウイルスに対してつくられる武器の量)に差がなかったために1/3量と設定されました。
効果は?
効果判定にはワクチン接種群(2268名)と、生理食塩水(体の血液に近い、体内に入っても同じ無害の水)接種群(750名)との比較することで行われました。
判定方法は「2回目接種の7日間以降におきたコロナ発症数の差異」です。
予防効果は90%と判定されました。
副反応は?
1回目の副反応は生理食塩水群と変わりないという結果でした。
これは医学的に解釈するとワクチンの副反応は少なくともほぼない可能性が髙いという解釈です。
2回目はわずかにワクチン接種群で髙い結果でした。
ただプラセボ群との差でみると、成人における比較的髙い副反応である発熱、倦怠感、頭痛の頻度はそれぞれ6%、15%、9%とあらゆる年令層より低いという結果でした。
ファイザー社ワクチンはこどもにも有効と結論付けられました。
こどもに有効なワクチンがないとこども継続的な感染源となり、それがこどもの生活の質を下げる要因にもつながるため、有効なワクチンが実証されたと結論付けられております。
長期的安全性、有効性に関しては追跡調査中であり、まれな副反応は検出されていない可能性があることもこの研究では言及しています。
日本の小児の現状(10歳未満:累積感染者96638名および死亡者0名 2022年1月19日現在)とかけ離れている背景の中で必要とされ始まった研究であり、決して突飛な発想から始まったものではないことを理解して頂ければ幸いです。